物置移動

こんにちは!松澤です。

ようやく暖かくなってきましたが、外構工事の着工には時期がもう少し早いため、新規の現場は出ていません。

なので、今日は何かと施工する機会が多い物置の移動について少し話したいと思います。

工事の際に既存の物置が邪魔になるとか、掘削する時に物置が近すぎてそのまま掘ってしまうと倒壊する危険がある等で、こちらの判断で移動させてもらい、工事が終わってから元に戻すケースだったり、今の場所だと使い勝手がよくない等で別の場所に移したり、向きを変えるなどのケースもあったりで、年に何度かやる工事です。

基本的に物置には住宅の様に頑強な基礎が入ってる事は殆どなく、既製品なら大体はブロックに乗せてるだけなので、小型のものなら人力で持ち上げてそのまま移動させてしまう事もあります。

大きい場合でも車用のジャッキを利用して持ち上げ、傷や変形防止に足場板やコンパネなどを挟んでから引きずって移動したり、移動距離が長い時は荷捌き様のローラーを利用して転がして移動する事もあります。既製品の場合はこの移動の際に少し歪んだり元々歪みが出ていた場合でも、壁や扉を一度外したりボルトの締め直し等で調整もできるのでそれほどデリケートな作業ではありません。

レアケースとしては、現場で大工さんが建てた木造物置の移動もあります。

基本的にやる事は既製品とあまり変わらないのですが、木造の場合は束石(つかいし)で基礎が入ってる事が殆どで、無理な事をして本体を歪ませてしまう様な事があると、鉄板の既製品の様には直せないので、慎重さも必要で少し厄介です。

これは昨年行った工事の写真ですが、片方ずつジャッキアップしてからローラーを入れて、束石設置のために一旦移動させたところです。この物置は住宅の外壁と同じサイディングが張ってあるため、ローラーに直に乗せると破損するので、木材を挟んで養生しています。

一度仮移動させてから、束石を移動したい場所に先に設置し、再度移動させて固定します。ジャッキでの上げ下ろしが大変ですが、一旦ローラーに乗せてしまえば、後は1人でも押して移動できます。

移動させるスペースがある場合は既製品でも木造でもこのように移動は可能ですが、稀にスペースが無い等で移設しようが無い場合があります。そういうケースは、木造の場合は、大型クレーンを呼んで吊り上げるか、それも難しければ取り壊して新たに作る以外に提案できませんが、既製品の場合は、変形や歪みが酷かったり、年数が経過して錆たりしていない限り、一度バラバラにして組みなおすと言う事も出来ます。

余談ですが、こういう移設工事の最たるものに家などの建築物を一軒丸ごと動かす曳家(ひきや)と言う工法があります。さすがに高層ビルの事例は聞いたことがないですが、少し調べてみると、大きな建物も事例があり、身近なところではあの札幌時計台も明治時代に100mほどこの曳家で移動してるそうです。

自分も全く専門外なので細かい話はできませんが、基本的には動かすものの規模が桁違いなだけで、ジャッキで持ち上げてローラーやレール、あるいはそれと同様のもので滑らせて移動すると言う、根本的な考え方は変わらない様です。

随分前に一軒家の移動工事を実際にやってるのを一度だけ見たことがありますが、本来動くはずのない建物が動いていると言うその光景がとにかく圧巻でした。